2024年4月29日、横浜にあるホテルニューグランドに「エスワイル」がオープンをします。
エスワイルと言えば、かつて神田小川町にあった名店「エスワイル」を思い浮かべます。
シンプルでありながらも、その美味しさは絶品で、他のどのお店でも超えることができないほどでした。
今でも多くの人の記憶に残る洋菓子の歴史と文化に深く根ざした存在に、今回は詳しく探ってみたいと思います。
エスワイルとは?
1923年9月1日(大正12年)関東大震災により被災した横浜で市長の提案により「外国人ホテル建設の件」があげられ、横浜市復興計画の一環として建設されることになります。
1927年(昭和2年)に開業したホテルニューグランド、その初代総料理長として務め、サリー・ワイル氏。
エスワイルは、サリー・ワイル氏のニューグランド時代のあだ名。
?????サリー・ワイル総料理長
ありがと??ですね#ホテルニューグランド
今日は、 ????イル・ジアルディーノで美味しいワイン??をいただきましたご馳走さまでした pic.twitter.com/L90q5Wr39m
— よこはまAV10 (@JL1EHV) February 18, 2023
サリーワイル氏は1897年(明治30年)スイスに生まれます。
ローザンヌのホテル学校を卒業した後、1912年にベルンのナショナルホテルで料理人として仕事を始め、フランス、オランダ、スイスなどで修行してまわります。
そんな中、横浜ホテルニューグランドの開業にあたり、欧州視察にあたった土井慶吉のおめがねに適い招聘されて来日することになります。
ワイル氏は、近代フランス料理の完成者とされるオーギュスト・エスコフィエに傾倒していたと言われますが、ワイル氏の即効で創作したものが元になったものにドリアがあります。
本日10/29は「ドリアの日」
ドリアはホテルニューグランド初代総料理長 サリー・ワイルが体調を崩した外国人のお客様のために即興で考案した一品です?お客様への“想い”が詰まった心もあたたまる伝統の味わいが、皆さまに届きますように。#ホテルニューグランド #クラシックホテル #ドリアの日 pic.twitter.com/yr9u5D6KeE
— ホテルニューグランド【公式】 (@HotelNewGrand_) October 29, 2023
第二次世界大戦後、横浜ホテルニューグランドはGHQに接収されたことから、ワイル氏はスイスへ帰国。
その後は、日本人の料理人たちがヨーロッパでの修行のため、レストランで給与の出る料理人として交渉するなど貢献します。
1976年、癌でベルンのセイントアナ病院で死去。
神田小川町エスワイルの大谷長吉
神田小川町にあった「エスワイル」の大谷長吉氏のプロフィールをご紹介します。
1910年(明治43年)東京生まれ
1923年9月1日(大正12年)関東大震災で父を亡くす。
1924年(大正13年)精養軒の洋菓子部に見習い小僧として住み込みを始めます。
朝3時起きで、石窯の火おこしが仕事です。厳しい仕事に辞める人も少なくなかったようですが、そんな中、「きっといい時がくるから」と慰めてくれたのが後に大門精養軒の社長となる高須八蔵氏。高須氏は、海軍経理学校で料理関係の講師をしていたことから、これからの洋菓子職人はフランス語が読めないといけないと、自分の給与でフランス語講師を招き、勉強させてくれたそうです。
ただ勉強の時間は、仕事が終わった後の夜9時からで、仕事疲れで眠ってしまう人も少なくなく、高須氏はがっかりしたとか。
1929年11月(昭和4年)精養軒で洋菓子のコツをつかみ始めた頃、先輩の推薦状で横浜ホテルニューグランドのベーカー部で初代総料理長サリー・ワイルのもとベーカリーシェフとして従事します。
この頃には、ヨーロッパから洋菓子に関する原書を取り寄せ、独学を始めます。
1930年(昭和5年)同ホテルのチーフベーカーとなります。
1944年(昭和19年)招集を受けます。
1945年(昭和20年)終戦後、横浜ホテルニューグランドに復帰。
1948年(昭和23年)西銀座レストランケテルの嘱託として入店。
このお店は現在閉店していますが、
昨日スペースでお勧めした喫茶店の他にあと2店お勧めしたい。
スマート珈琲店:昭和7年創業の喫茶店
美空ひばりも好んだホットケーキやフレンチトースト等有名イノダコーヒー 本店:昭和15年創業の喫茶店
プリンは東京銀座にあった「ケテル」のレシピを90年以上受け継いだもので作られています。 pic.twitter.com/ry0n7bWN3K— keigo (@rx782cb750f) May 20, 2023
1951年(昭和26年)西銀座に合資会社エスワイルベーカリーを設立します。
1955年(昭和30年)同店を神田小川町に移転し、喫茶室と洋菓子小売りを始めます。
1963年(昭和38年)合資会社エスワイルに変更します。
2011年(平成23年)閉店
こちらからは、帝国ホテルの製菓部長となる加藤信、「リリエンベルグ」の横溝春雄などを輩出。
これかエスワイルのマロンシャンティとモンブラン
【閉店】エスワイル
https://t.co/bi9h2ZXylq#ij954 #so954 pic.twitter.com/QhuJFHtFov— mo10fu3@白熊 (@mo10fu_3) December 13, 2016
ホテルニューグランド直営の「エスワイル」の魅力とは?
今回のオープンによって、ホテルニューグランドのエスワイルで期待されることは何でしょうか。まず第一に挙げられるのは、伝統と革新が融合した洋菓子の世界です。ホテルニューグランドは、その歴史と伝統を受け継ぎながらも、新たなスタイルや味わいを提案しています。これによって、横浜を訪れる人々は、過去と現在が交差する特別な体験を楽しむことができるでしょう。
神田小川町の名店「エスワイル」とホテルニューグランドの再会は、洋菓子愛好家だけでなく、横浜の歴史や文化に興味を持つ人々にとっても特別な出来事となるでしょう。再びエスワイルの味を楽しむことができる喜びとともに、横浜の魅力に触れる新たな場として、ホテルニューグランドのエスワイルが期待されるのです。
ホテルニューグランド『S.Weil by HOTEL NEW GRAND』4月29日にオープン#SWeil #エスワイル #サリーワイル #ナポパン #ホテルニューグランド #大谷長吉https://t.co/2QNmrnvSlM
— South65チャンネル (@South65242374) April 10, 2024
まとめ
行きたいと気になりつつ、いつの間にか閉店してしまった神田小川町のエスワイル。
でもね、熱海の古いケーキ屋「モンブラン」(ロバートキャパが亡くなる少し前に訪れた)でケーキを食べた時「あ、神田のエスワイルのクリームに似てる」ってつぶいやいたのよ。と、お店の人が横浜グランドホテルで働いたサリー・ワイルさんのレシピだとか教えてくれた。やはりエスワイルと同じ味だった
— 笹生那実 (@sasounami) April 1, 2015
モカルーロやモンブラン、ババロア、プディングロワイヤルなど、その復活を期待してしまうのですが、管理人にはちょっと違うのかもしれないな。
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