おいしいだしの効いたお味噌汁は、何よりのごちそうです。
だしの中でも煮干は、昆布やかつおだしより味が濃厚で、酸味のあるかつおだしにくらべて甘味のあるだしが取れるのが特徴です。
西日本では、煮干は「いりこ」と呼ばれ、煮干でだしをとる食文化が根付いていますが、面倒そうに思いますが、実は煮干しだしの取り方はとっても簡単です。
だしがらの活用や、ミシュラン店の「分けとく山」での簡単なだしの取り方などをNHK『あさイチ』(2015/6/3放送)よりまとめました。
煮干しだしの取り方 簡単!だしソムリエが教えるだしをとるコツ
煮干は、頭もはらわたもとりません。
ボトルにそのまま、煮干25g、お水750mlを入れ、冷蔵庫に一晩置くだけで、しっかりだしがとれます。
生臭くないのかと思いますが、水だしだと匂いが気にならないのだそうです。
煮干の品質を研究している、東京海洋大学の瀧口明秀さんの話によると、
「匂いの原因は、煮干に含まれる「脂」で、この脂が多いと酸化して雑味になったり、嫌な匂いが出る。
ところが、水だしにすることで、この脂が溶けて出てくるのを防ぐのだそうです。
煮干のおいしい成分は、イノシン酸で、水にかんたんに溶けますが、嫌な匂いは、水に溶けにくいからです。」
水だし法は、匂いをおさえてうまみだけを出す方法なんです。
煮干しだしがら活用!レシピ煮干のよろずあえ
ミシュランで星を取った「分けとく山」の野﨑浩光さんのお店のまかない料理で、煮干のだしがらを使ったレシピです。
材料
煮干
ねぎ
しいたけ
だしをとった昆布
作り方
きざんだねぎ、しいたけ、だしをとった昆布、煮干を油でいため、しょうゆ、酒、こしょうで味付けします。
煮干しだしがら活用!レシピ煮干の天ぷら
すっきりした軽い上質な白身魚を食べている感じになります。
だしをとった後の煮干は、生臭さが消えてやわらかくなり、食べやすくなっています。
うま味も残っているので、白身魚のようになるのです。
衣をつけて揚げるだけ。
あとは、海苔をのせたごはんの上に、天ぷらをのせると天丼の出来上がりです。
煮干の栄養成分
栄養も女性に不足しがちなカルシウムが牛乳の20倍、鉄分やビタミンDも豊富に含まれているのです。
煮干は、1匹あたりカルシウムが、22mg含まれていて、煮干は、1匹約1gです。
1日、28匹煮干を食べると良いそうですが、無理ですよね^^;
煮干パワーで健康改善元気だしの作り方
煮干を粉末にすることで、栄養を豊富にとることができ、そのおかげで、ある小学校の給食で、煮干を取り入れたところ、煮干パワーで欠席が1/4に!
香川県 三豊市立仁尾小学校では、煮干のほかに、トビウオ、昆布、しいたけを粉末にした、その名も「元気だし」を、そのまま飲み干すことで、カルシウムなどの栄養がそのままとれます。
味噌汁だけでなく、カレーや洋食にも、献立の2/3に、この「元気だし」を使っているそうです。
確かに、洋食でも和食、中華にしてもダシが美味しいと、全然美味しさが違います。
うまみ成分イノシン酸が、ちゃんと成長期の子供には、わかるんですね。
他にも、この学校では生活習慣の改善や、朝のランニングなどをはじめた結果、1日あたりの欠席児童数が、「元気だし」を使っていなかった2年前とくらべると、1/4に減少。
さらに36.5度以上の正常体温児童の割合が、24%から83%に上昇!
効果は、それだけでなく、「元気だし」を使うことで、うす味ながらうま味がアップするので、子供たちの好き嫌いが減ってきた。
野菜のおひたしなど、青臭さがなく、粉末のだしのうまみが出て、食べてくれるようになった。
食べ残しが4割ほどあったが、今ではほとんどゼロになった。
ミシュラン「分けとく山」の野崎さんの煮干のだしのとり方
「分けとく山」の野崎さんも、この方法を使っているそうです。
ただ、野崎さんは、頭とはらわたをとって、半身にさくことで、だしが出やすくなりますが、家庭では、とらないで、そのまま使って大丈夫だそうです。
お水1000mlに対し、煮干25gで、3時間漬けます。
煮干だしは、うま味が濃厚なので、酒と薄口しょうゆを入れるだけです。
材料(2人分)
だし 300ml
酒 小さじ1/2
薄口しょうゆ 小さじ2強
野﨑浩光さんのお店
「分けとく山」
住所:東京都港区南麻布5-1-5
煮干の選び方のコツ保存方法
ふっくらした煮干は、脂が多いのですが、ほっそりした煮干は脂が少なく、匂いが少ないんです!!
皮がはがれているものは、皮下脂肪が多いしるしなので避けます。
黄色く変色したものも、脂が酸化した証拠なので、これも避けます。
全体的に、形のいいものはおいしい成分が多くて、嫌な成分が出ていない。
極上の煮干の選び方を築地で海産物、乾物問屋「寿屋商店」を営む小川克久さん(上手な「だしのとり方」の指導も)の話では、脂がなく、煮干が銀色で光っていて、腹が黄色くなく、もてるならふかっとやわらかい。匂いをかげるのなら嗅いでみると、脂がないので、良い匂いがします。
同じグラム数なら、嵩の多いもの、それだけ軽いものが良い。脂があるとどうしても重量が嵩むので。
良いものは高いけれど、安いものは頭や腹をとったりすると、嵩が半分になる。
良い煮干を倍の値段で買っても、頭や腹をとらずにそのまま使うから、最後の量を考えると同じになる。
もし煮出しする場合は、煮立てない。
ただし水だしした物は、傷みやすいので、冷蔵庫で2日くらい保存が可能です。
安い煮干があって臭みがある場合は、嗅ぐと匂いがあるので、頭と腹をとって、半身にしてから骨をとり(骨にはかなりくさみがあります)乾煎りしてから、ジップロックなど、密封できるものだと空気を通さないのでおすすめ。
今の冷凍庫は風を使って冷凍しているので、いわゆるビニール袋だと、風を通して匂いが移ってしまったり水分がとぶので、ジップロックか、密閉容器に入れ、冷凍庫に入れておく。
冷凍庫と言っても、凍りません。すぐ出して使えます。
脂が酸化してしまうので、常温で茶筒に入れて、台所のすみなどには、おかないでください。
もし買ってきた煮干が、脂くさかったら、乾煎りすると良いそうです。
乾煎りした物も、水だしはできます。
小川克久さんの海産物と乾物のお店「寿屋商店」の極上の煮干し片口鰯 500gを買えるのはコチラ
粉だしの作り方
頭と腹をとった煮干を電子レンジで水分をとばします。
いっきに入れると焦げるので、まず2分(600W)、一度冷ましてから、さらに1分。
水分が多いと、ミキサーにからみついて粉になりにくいそうです。
少量づつ、ミル(15秒)かミキサー(30秒)にかけます。
乾燥剤を入れた瓶に入れると、常温で2ヶ月くらい持ちます。
粉だしの最大のメリットは、すぐだしがとれること。
1人前は、小さじ1杯で、沸騰するまでに十分なだしがとれます。
粉だしは、どれくらいの時間で、うま味成分イノシン酸が出るか調べると、
1分加熱するだけで、十分なだしが出ます。
それ以上の加熱は、むだです。
山本麗子さん(料理研究家)おすすめの粉だしを使ったレシピ
キャベツなどの浅漬けや、サラダに粉だしをほんのちょっと足すだけで、深みのある味わいに。
ゴーヤーと豚肉のいためもの
材料
豚バラ肉
ゴーヤー
サラダ油
赤唐辛子
材料を炒めたところに、粉だし小さじ1/2をまんべんなくふりかけ、最後にしょうゆ、酒をふり、水分が出た所で、粉だし小さじ1/2を入れ、香りを引き立たせます。
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